峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

2月17日の「異類の会」で話しますというお知らせ

 先の日記で書いた通り先日「花咲くいろは」を見終えまして、今は同じ制作会社によるお仕事アニメシリーズであるところの町おこし奮闘記「サクラクエスト」を見ているんですが、これが予想以上に地方のリアルの話をやっており、なおかつフィクショナルな部分とのバランスも好みで、回を追うごとに胸がいっぱいになっています。やっぱ2クールあるオリジナルアニメは描写が丁寧になっていいですね。観光協会会長と商店会会長のロックな過去が明かされるエピソードで泣いてしまった(ここまで挨拶)。

 

 閑話休題

「異類の会」という団体(学会?)があります。

 異類というのは人間以外のキャラクターのことで、要するにお化けとかUMAとかですが、そういうのについてプロやアマの研究家の方が研究報告・情報提供・談話などをする会です。

 この会主催の発表会が毎月行われているのですが、その第141回(2024年2月17日オンラインにて開催予定)にて、「予言獣大図鑑」の共著者である長野栄俊さん・笹方政紀さんとともに発表する運びとなりましたので、ここでもお知らせしておきます。

irui.zoku-sei.com

 

 私はひとまずこんな感じ↓の話をする予定です。

予言をしなくなった予言獣 誰がいつアマビエを変えたのか

 

 「予言獣大図鑑」の拙稿「予言から疫病退散へ」では、コロナ禍を経て、報道や一般書におけるアマビエの在り方が「予言する妖怪(予言獣)の一種」から「疫病退散祈願のシンボル」へと変質したこと、また、アマビエの疫病退散属性は決してコロナ禍をきっかけに生まれたものではなく、従前から存在していた萌芽がコロナ禍をきっかけに大きく取り上げられた結果として起こった可能性があることを指摘した。

 ここで起こった変質は特定の個人や団体の先導によるものではなく、複数の公共機関、マスコミ、商業施設、SNSユーザー、識者らがお互いに不確かな情報を参照し合うことによって、存在しなかった伝承(史実)がごく短期間のうちに作り上げられ、規定事実化するという現象が起こったものと考えられる。

 だが、変質のタイミングはどこかに存在するはずである。今回は、報道等に見られるアマビエの説明の変遷を通じて、いつアマビエは疫病退散妖怪という個性を確立したのか、アマビエを変質させた主体がどこにあったのかを考えてみたい。

 

 こいつまたアマビエの話かよ!と思われそうですが、そして「予言獣大図鑑」の拙稿と被る部分も多いですが、あっちの原稿で使えなかったネタや、あれを書いた後に見つけたネタも入れています。私は研究者としてはド素人なので、キレのいい発表にならない自信はありますが、異類の会は参加申請さえすればどなたでも参加できるはずですので、ご興味おありの方はよろしければお越しください。ではでは。

「花咲くいろは」全編見ました(読みました)という話

「金沢の奥座敷」こと湯涌温泉をモデルにした温泉街が舞台の高校生仲居奮闘アニメ「花咲くいろは」の全話と劇場版が無料配信されており、それを先日見終えました、という日記です。

 

 正確に言うと、まず全編26話を鑑賞し、最終話を二回見た後、劇場版の予告編を見た上で数日間のインターバルを挟んで劇場版を見て、さらに後日談にあたるノベライズ(電子書籍で全6編)も読みました。終わった。終わったよ。

花咲くいろは」、湯涌温泉にもポスター貼られてたんでタイトルだけは知ってたんですが、逆に言うとそれしか知らず(主人公の名前が「いろは」じゃないことにまず驚いた程度に何も知りませんでした)、気になってはいたものの見るタイミングがなかった作品だったので、チャリティー配信に乗っかって拝見させていただきました。ありがとうございます。

 舞台のモデルであることろの湯涌温泉は、拙著「金沢古妖具屋くらがり堂」の取材というかネタ探しというか物見遊山で行ったことがありまして、いかにも昔ながらの温泉街って風情の素敵な場所だなあと思ったので、作中にも一回出してます。


 またアニメ本編にも何度か出てくる金沢市街(いわゆる「マチ」ですね)は、「くらがり堂」全編や「少年泉鏡花の明治奇談録」で使わせてもらっているので、見覚えのある景色がちょくちょく出てきて楽しかったことです。香林坊にある「Q」が走ってるみたいなオブジェとか印象に残りますよね。

 

 

 

 もともとP.A.WORKSのお仕事アニメは「白い砂のアクアトープ」や「駒田蒸留所へようこそ」は楽しく見ておりまして、特に「アクアトープ」の中盤で主人公たちの居場所であり働くモチベーションだった施設が無くなってしまい、「お前はこの場所を維持したいだけだったのか? それともこの職業が好きなのか?」と追い詰められる展開には強く感銘を受け、自作で「くらがり堂」を焼きそうになったことがあります。やらんで良かった。

「花咲く~」に話を戻しますが、面白かったです。旅館が舞台の仲居ものってことで、「奉仕精神」とか「おもてなしの心!」みたいなのを推されると若干引いちゃうんだよなーとか失礼なことを思いながら見始めたんですが、ドラマの中心はあくまで旅館に集った各々の内面や葛藤で、老若男女、老人も青年も少年少女もみんな色々あるんだよ色々! 完璧なやつはいないけどみんな頑張ってるんですよ! なあ! という話でしたので素直に共感できたし、ガーッと行動に出てしまえる主人公が好きなので、大いに応援しつつ見終えることができました。いや、いい子でした主人公の緒花さん。一人で上京してプラカード持って座り込むところが特に好き。

 あと、金沢が舞台の古い店でバイトする高校生の話を書いてたり、古い施設や職場で働く話を色々書いてた身としては「あー、職人になりたいから高校に行かないって言い出す一見クールな激情ツンデレいるよねー」とか「最後はやっぱ施設のボスとの対決になるよなー」とか「で、その後に、なんでその場所が出来たのかって話になりますよねー」とか、物語の流れにも勝手に共感しながら見てました。わかるわかる。

 舞台を含めて世界観や登場人物たちにだいぶ感情移入してただけに、旅館が閉まって主人公が東京に帰ることになる最終回は(話の流れとしてそうなるのはすごく分かるんですが)けっこうな寂しさがあり、あと、せっかく北国が舞台なのに冬のエピソードやらないのはもったいなくない? とも思ったんですが、その後の劇場版(時系列的には最終回前)のクライマックスで、決意しながら雪をザクザク踏みしめて歩くシーンがあって、なるほど、ここのために冬のシーンを取っておいたのだなと納得。このエピソードが最後にあるおかげで前向きな印象で見終えることができるわけで、ワザマエな構成です。

 さらに後日談にあたるノベライズでは、数年ぶりに集まるシーンで、あくまで旅館を再興したい主人公に対し、それぞれ自分の人生やってるかつての仲間はあくまで同窓会気分で……と食い違うあたりの世知辛さが良かったですね。

 町おこし要素としてトリエンナーレ的な事業を持ってくるのも納得感があり(アートをどう見せる?という話も好きなので面白かったです)、主人公がようやく誰かの真似じゃない生き方を模索し始める流れも心地よく、気持ちよく読み終えることができました。もともと金沢にはまた行くつもりでしたが、足を伸ばしたいところが増える作品でした。

 正直、実を言うと最後まで見ても(読んでも)「花咲くいろは」というタイトルの意味が今一つピンと来ていないところもあるんですが、これは持ち帰って考えてみようと思います。

文学フリマでした

 先の記事で告知した通り、京都で開催された文学フリマに出店してきました。

 出店者側で参加するのは初めてだったので色々とカルチャーショックもありましたが、総じて面白かったです。

 何がカルチャーショックだったって、運営さんからのメールの多さ。念入りなのは助かりますが、前日23時に「明日だよ!」、当日朝6時に「今日だよ!」のメールが来るのは念入りすぎるとちょっと思いました。何かあったのかと思って慌てましたよ。

 さて、告知を見て来てくださった方ありがとうございます。不慣れで失礼な部分もあったかもですが、こちらとしては急かされることもなくお話しさせていただけて、いろいろ楽しゅうございました。自作にまつわる話ができる機会って作者としてもレアなので、精神ポイントを補給させていただきました。ありがとうございます!

 差し入れくださった方もありがとうございます。お一方ずつにお礼を言うのは控えますが、今、いただいたお菓子を食べつつ、いただいたマドラーでジャグジャグと父さんを混ぜたりしています。

 また、ノーチェックだったろうに通りがかりで興味を持って立ち止まってくれる方もありがとうございます。私も変な本を買いに来ていた側だったので気持ちは分かります。「へー、こういうのやってる人がいるんだ」「まだ本にまとめられてない妖怪って結構いるんだ」という怪しげな面白味を感じていただけたなら何よりです。共にビエに備えましょう。

 あと、たまに「えっ峰守ってあの?あいつ?」的な、こっちの筆名や作品を知ってて下さる方もおられて、これまた面白かったです。

 どう思いますか? 学生時代に愛読してたラブコメの作者がノンフィクションコーナーで「アマビエとの戦いも四年目に入りましたが許しちゃおけねえ」みたいな謎のメッセージ性に満ちた本を出していたら?

 何でだよ!と思わせてしまったら申し訳ないとは思うんですが、時代は変わるし僕らも変わるので……(それでも心はユニバース)

 閑話休題。ちょっと印象的だったのが、元々Twitter(現X)で繋がってて「最近Twitter見てないので知りませんでしたよ、出店してたんですね」って言ってこられる方が何人かおられたこと。

 Twitter、覗くといつでも誰かしらいるので閑散とした感じは受けないんですが、改めてフォロワー一覧を見てみると最近見ない方も結構多いんですよね。人が減ったり増えたりするのはSNSの常ですし、特に今の有様を見るとまあ抜けていく人もそりゃいるよなーとは思うんですが(私自身も覗く回数減ってるわけで、気付いておきたかった告知とか見逃してる可能性も大いにあります)、告知の仕方も考えねばなーとか思ったことです。

「あやかし」という言葉のニュアンスと泉鏡花についての私見というか雑感

 先の記事に書いた通り「少年泉鏡花の明治奇談録 城下のあやかし」という本が三月に発売されることになりました。

 この副題にある「あやかし」という単語、妖怪や怪異の同義語としてライト文芸(キャラ文芸)ではお馴染みのワードです。

 一方で、めんどくさい妖怪好きにこの単語を使うと「『あやかし』はそもそも海に出る化け物のことでねえ、妖怪と同じ意味で使うのは違うんだよねえ……」などとしたり顔で言われたりすることもある単語としても知られています。

 私も一時期言ってましたが(猛省)、いつから今のニュアンスになったのか、前に一度調べてみたことがありまして。そしたら「あやかし=妖怪全般」の意味合いで使われるようになったのは案外古かったんですよね。少なくとも戦前の娯楽小説では「あやかし=お化け全般」の意味合いで定着してたっぽいんです。

 で、さらに興味深いのが、その原因(の一つ)になったのは泉鏡花じゃなかろうかと私は思っているわけです。あの時代の作家の中では「あやかし」の使用率が飛びぬけて高いんですよね、泉先生。

 ご本人の名誉のために補足しますと、泉鏡花先生はさすが正統派のお化け好きだけあって基本的に「海の怪異」の意味合いで「あやかし」を使われるんですが、知らない人が読むと「これって『妖怪』のカッコいい言い換えじゃない?」と思えるような使い方をされるんですよ。

 で、鏡花は同業者にもファンの多かった人気作家ですから、このへんから「あやかし」が「妖怪全般」の意味合いを強めていったんじゃないか、だとしたら泉鏡花は(ご本人は不本意かもですが)現行の「あやかし」概念の創始者みたいな人なんじゃないか……と勝手に考えている次第です。

 そんなわけで今回の副題の「城下のあやかし」、ぱっと見は「ああ、城下町に妖怪が出るんだなー」くらいの意味合いに見えますが、鏡花の「あやかし」は「海に出るやつ(正確に言うと、海に出て船乗りをあの世に誘う怪光とか怪火)」なので、「本来はそこにいるはずがないものがいる!」というニュアンスが含まれています。あと現行の「あやかし」概念の生みの親(?)へのリスペクトも多分に含まれています。伝わってほしい! でもまあ伝わらないのも分かっています! とかそんな思いがこもった副題です。よろしくお願いいたします。

「少年泉鏡花の明治奇談録」続編刊行についてのお知らせ

 昨年に「少年泉鏡花の明治奇談録」という小説を出しました。

minemori-h.hatenablog.com


 タイトル通り、明治の幻想文学の大家にして怪異愛好家であった泉鏡花(敬称略)が
金沢で過ごした少年時代に、後の著作のモチーフになるような怪事件に遭遇していた! という趣向の連作です。言うまでもなくフィクションです。

 で、おかげさまで、その続刊が出ることになったのですが、それについてのお知らせです。

 以下、版元であるポプラ文庫ピュアフルの公式X(旧Twitter)アカウントからの引用です。

 

 

 というわけで「少年泉鏡花の明治奇談録 城下のあやかし」、再来月の3月5日頃に刊行予定です。よろしくお願いいたします。

 

 そもそもここでは新刊が出るという話もしてなかったんですけど、一部ネット書店では実は昨年末から予約できるようになってまして(書影が出てるところもありました)、その公開されてた情報から発売日と副題が変わります、というお知らせです。

 改題や延期の事情は察していただければ幸いです。私も編集部内のやり取りを全て知っているわけでもないですし。筆者としては不謹慎な話を書いたつもりは毛頭ありませんが、そこはそれ娯楽小説ですから、舞台にさせていただいた土地の状況や流通が色々落ち着いてから読んでいただけた方がこちらとしてもありがたいです。

 というわけなので、もし既に予約してくださってる方や、ここを読んで読みたいなと思ってくださった方がおられたら、お待たせしてしまうことになり申し訳ないですが、ご了承いただければ幸いです。

 あらすじとかは正式な紹介ページが公開されてから詳しめのを書くつもりですが、今回も前回同様、泉鏡花の著作がモチーフとなった連作です。今回も面白いので(個人の感想です)(でも面白いと思う)よろしくお願いいたします。

 

 最後に、先の能登半島を中心とした地震で被害を受けられた方や施設にお見舞いを申し上げますとともに、本作の印税の一部も災害義援金として寄付するつもりであることを申し添えておきます。

文学フリマ8京都(2024年1月14日)に出ます(2024/01/04追記)

 タイトル通り、2024年1月14日に開催される同人誌即売イベント「文学フリマ京都8」に出店しますという告知です。

bunfree.net

 京都の文学フリマ、これまで買う側では何度か行ってまして、その度に主に文学じゃない本を買ってきていたのですが、最近自分でもそういうのを作るようになったこともあり、一度出てみようと思った次第です。

 ブースは「く-53」、ジャンルは「ノンフィクション/妖怪・もののけで申し込んでおります。

c.bunfree.net

 というかこのジャンルがあったから申し込んだようなもので、同じジャンルの本を買い漁るのを楽しみにしてたのに、「ノンフィクション/妖怪・もののけ」が僕を入れて2サークルってどういうことですか。話が違うだよ。

 閑話休題

 ブース名は「峰守ひろかず」です。「アマビエに騙されちゃなんねえ堂」とかにしておけば良かったか。並べる同人誌はとりあえず今のところ以下のラインナップを予定しています。

 

①いつも隣にビエがいた アマビエ出現事例集二〇二〇〜二〇二三 ほか二編(新刊)

・A5サイズ、61ページ、400円

 コロナ禍をきっかけに知名度を上げた妖怪アマビエが2020年から2023年にかけてどのように活用されていたか、報道や商品案内などから収集した事例集です。

 なお、本稿は西日本化物・妖怪同好会の同人誌『怪魅型(かみがた)』第参号に、「アマビエに騙されちゃなんねえおじさんas 峰守ひろかず」の筆名で寄稿した『いつも隣にビエがいた アマビエ出現事例集 二〇二〇・〇二~二〇二一・〇三』をベースに大幅に追記したものとなっています。

 あの時は2021年の正月までしかカバーできなくて、まあビエ関連の主な出来事は2020年に収まっているのは確かなんですが、あの時ページ数の都合で削ったネタも多かったし、何より2021年以降もビエは結構元気だったわけです。

 平等院とか、ペスト医師とか、星雲賞とか、琵琶湖夢告げ自転車飛び出し坊やアマビエ煎餅とかについても誰かが記録しておかねばならぬ。不思議の謎を解かねばならぬ。というわけで書きました。

 例によって分析を全力で放棄し、些末な事例を延々並べることで、ビエが一ツイートをきっかけに知名度を爆上げし、公認の疫病妖怪となり、権能を異様に拡大させ、やがて令和の顔になるまでの流れを一望できる記録となっています。

 あと、せっかくビエの個人誌を作るなら……ということで、「文芸ラジオ」8号(東北芸術工科大学芸術学部文芸学科より2022年5月刊)に掲載された短編小説「アマビエを探しに」と、第61回日本SF大会内企画で話した講演録のようなもの「アマビエに騙されちゃなんねえ」(このブログにも掲載済み)を一部修正した上で収録しています。

 いわば個人的なビエまとめ本であり、コロナ禍以降のアマビエがどんなものだったか、峰守がどういうスタンスでビエに臨んでいたかが分かる一冊となっています。そうなる予定です。

 これで決着としよう、アマビエ!(フラグ)

 

②私家版金沢妖怪事典(既刊)

・A5、190ページ、1,500円

・石川県金沢市で伝承・記録された妖怪を五十音順に紹介した事典です。

・全608項目収録、コラム6本掲載、伝承地名別・施設場所別・種類別索引あり

・装画は漫画家の久正人さん

2023年夏に発行したものと同じ内容ですが、誤字や脱字を修正した第2版です。



 

③私家版滋賀県妖怪事典(既刊)

・A5、214ページ、1,600円

滋賀県内で伝承・記録された妖怪を五十音順に紹介した事典です。

・全824項目収録、伝承地域別・種類別索引あり

・装画はこちらも漫画家の久正人さん

2021年11月に発行したものと同じ内容ですが、誤字や脱字を修正した第2版です。

 

 上記の三冊に加えて、共著として参加した「予言獣大図鑑」もちょっと持っていくつもりです。こっちは商業出版なので普通に書店さんで買えますが。

www.hanmoto.com

 

 とりあえずラインナップはこんな感じ↑を予定しています。

 多分ひっそりしたブースになると思うので、まず売り切れることはないでしょうが、念のため取り置きしておいてほしい、という方がいらっしゃったら、お名前(本名じゃなくて大丈夫です!)と欲しい本を、X(旧Twitter)のDMでもメールでもここのコメント欄でもいいので、事前にご連絡くださいませ。

 

 以下、余談です。

 ご存じの方も多いでしょうが、会場となる「みやこめっせ」は地下鉄東山駅から歩いて15分くらいのところ、京都市京セラ美術館と国立近代美術館の間の大鳥居を抜け、府立図書館を左に見ながら左折した先にあります。ここを直進すると平安神宮、右折すると京都市動物園に行けます。よりどりみどりですね。

 で、このみやこめっせ付近、大きなお世話かもですが、お昼を食べれるところが近くにそんなにありません(府立図書館で調べ物をする度に痛感しています)。みやこめっせ内のレストランは多分相当混みますし、ちょっと戻って近代美術館内のカフェという手もありますが、おそらくこっちも混んでます。個人的には、動物園まで歩いてそこから山側にしばらく行ったところにあるラーメン屋が好きなんですが、結構遠いんですよね。近くのコンビニで済ませるのもありですけど、もしかしたら昼食済ませてから来られる方が無難かもです。

 では。

 

***以下、2024年1月4日に追記***

 

 上記のラインナップに加え、上方お化け研究会様発行の合同誌「『お化け研究 上方』大阪お化け特集号」を委託販売することとなりました。


タイトル通りの大阪の妖怪・怪異についての論考集で、内容は以下↓の通りです。

 私も読ませていただきましたが、大阪の妖怪の深みの一端に触れることができる充実した内容でした。上方の怪異に触れたいぜ!という方には強くおすすめいたします。

 価格は一部800円の予定です。なお、峰守(私)は執筆しておりませんので念のため。

 

 また、あわせて、本イベントでの売上の一部は、今年1月1日に能登半島を中心に発生した地震の災害義援金として寄付する予定であることをここに表明しておきます。

 

 以下、蛇足の蛇足です。

 私は寄付というのはそもそもパーソナルな行動であって、「やってるよ!」って堂々と言う必要は無かろうと常々思っています。余裕のある人の寄付の公言は、関心の喚起や周知に繋がる一方で、経済的に余裕がない方に申し訳なさを抱かせることになる気もしますし。

(個人的なことを言うと、原稿料や印税の一部を国境なき医師団に毎月、日本赤十字社等に不定期に寄付してますが、わざわざ言うことではないと思って言っていませんでした)

 ただ、今回のイベントで並べる同人誌の中には被災地である石川県を取り扱ったものがあり、ニュースで報道される地名には編纂・執筆中に何度も見かけたものも多く、被災地を題材にして自著を販売することの申し訳なさ、心苦しさがあることから、ここに表明したものです。なお、被災地に寄付するつもりで買おうと思っておられるなら、その額を直接寄付していただいた方が絶対に懸命だと思います。やれることをやれる範囲でやっていきたいものです。お互いに。

 これ以上被害が広まらないことを強く祈念するとともに、被災された方の一刻も早い復旧・復興、心身にダメージを負われた方のご快癒を深くお祈りいたします。

「 陰陽師とは何者か」展で奈良の底力を感じてきました

 千葉県は佐倉の国立歴史民俗博物館で開催された特別展「陰陽師とは何者か うらない、まじない、こよみをつくる」を見てきました。

 

 見てきたのはちょっと前で、今更思い出したようにこの記事を書いております。ちなみにこの展示は12月10日(この記事を更新した日)までなので、ここ読んで行こうと思われても遅いです。すみません。

 陰陽師といえば「晴明」とか「式神」とかがすぐ連想されますし、平安ファンタジーの定番要素(ジャンル?)でもあります。

 この特別展のマスコットキャラのモチーフも晴明でしたが、「そして、本物に出会う」と副題がついているだけあって、主題は「実際の陰陽師たちが何をしてきたか」。

 説話の中の安倍晴明を代表としたマジカルヒーローとしての陰陽師にももちろん触れられているものの、そっちの比重は軽めで、展示内容は実在の陰陽師たち関連の文書が中心、「陰陽師ってのはあくまで暦を作ったりした人たちだからな!」という硬派なスタンスがはっきり感じられる構成だったように思います。

 安倍晴明五代目として持ち上げられる少年が「式神は実在しねえ! 鬼もいねえ! というかそういうのは陰陽師の仕事じゃねえ! 陰陽師の本業は天体観測と暦を作ること!」とキレながら怪しい事件をバサバサ解決するシリーズ(↓)を書いたことがある身としては、そうだよな、と思える展示でありました。面白かった。

www.poplar.co.jp

www.poplar.co.jp

 

 あと、展示全体を通じて印象的だったのが奈良の強さ。

 陰陽師といえば賀茂家とか土御門家とかなので、京都か東京の資料が多いんだろうなーと思ってたんですが、奈良から来た資料がとにかくめちゃくちゃ多いんですよ。陰陽師十数人が代々住み続けていた町が奈良にあって(その名も陰陽町)、幕末まで陰陽道に則って暦を作っていたことも今回初めて知りました。

 先日見に行った奈良の「仮面芸能の系譜」展や、その図録に収録された対談で、「皆さん古都と言うと京都のことばかりですが、しょせん京都は新しくてミーハーな町や」「ほんまに古くて伝統があるのは奈良ですさかいなあ」みたいなメッセージを勝手に受け取っていたこともあって、奈良を侮ってはいけないなと改めて思ったことです。

 名物っぽい駅弁が柿の葉寿司しかないんだよなーとか思っている場合ではない。

 

 で、せっかく国立歴史民俗博物館まで来たので常設展も見てきました。こっちは撮影可能エリアが広いので撮影が捗ります。

 ここに来るのは数回目ですが、先史時代から始まって縄文、弥生、古代、中世(中略)と来て、敗戦でめちゃめちゃになってようやく復興したと思ったらそこにゴジラが来て終わる!!というこの構成、何度見てもロックだと思います。

 

 いいですよね、日本史を再現した長い長い展示の最後にドーンといるゴジラ(84年版)。なんらかのメッセージを受け取ってしまう。

 

 あ、「民俗」コーナーの「現代の子供部屋」にいるロボはまだゴーバスターエース(バスターアニマルモード)でした。もうそろそろ十年選手だなあ。

 

 せっかくなので撮ってきた写真を何枚か貼っておきます。

 

 昆虫のようなデザインがイカす異形土偶

 

 宮本常一先生のお言葉。この人を主人公にした金田一耕助ものみたいな民俗ミステリーを書きたい(できれば誰かが書いたやつを読みたい)とずっと思っています。

 

 実体験できる覗きカラクリ。目が疲れます。

 

 近著(「予言獣大図鑑」発売中です)でお世話になった予言獣の一体である尼彦さん。

 といったところで特にオチもなく終わります。