(先の記事の続きです)
第五期 Ìnconsistent(相容れない、両立する、一貫性のない)―悪役としての採用、あるいは様々な視点からの考察の開始など、一貫性がないように見えるほど扱われ方が拡大する―
《81》妖怪「アマビエ」の出自 : "Medico della Peste"(ペスト医師)の面影
(文学論藻95号 二〇二一・〇三・一五)
このころになるとビエブームを扱った論考や論説も多く出てきたが、その中でも印象的だったもの。文学理論・文化論・都市論などを専門とする武・アーサー・ソーントン氏による論文で、東洋大学文学部日本文学文化学科発行の論文集に掲載された。
「アマビエはヨーロッパの「ペスト医師」の姿を日本の庶民の趣向に変形させたもののように思われるのだ。ペスト医師のガラスの目と尖った長い鼻は、輝く目と小鳥のくちばしのような口元になったのではないか。ペスト医師の長いコートとその下にわずかに出ている靴は、魚の鱗に覆われたずんどうの体の下に見える尾びれのような三本足になったのではないか。なぜ三本足なのか。三本目の足は、「ペスト医師」が常に携行していた杖の名残りだったのかもしれない。また、日本には、古来、時として奇形を神の使いのように尊ぶ風習がある。三本足の八咫烏がいい例だ。こうして、ヨーロッパでは疫病治療と死神の具現という、恩恵と恐怖の絡み合った姿が、日本ではその恩恵の面のみが強調された姿になったのではないだろうか。」という独創的な内容なのだが、そうなのだろうか。
《82》朝日川柳 西木空人選
(朝日新聞 二〇二一・〇三・一六)
アマビエも匙(さじ)を投げ出す人出かな(神奈川県 石井彰)
朝日新聞に掲載された川柳で、コロナ禍が一段落して突然人出が増えたことを題材としている。二つの意味で時代性を感じさせる一首。
《83》飛び出し坊や「ビワイチ」仕様に アマビエ姿でサイクリング
(毎日新聞 二〇二一・〇三・一九)
琵琶湖畔のホテル「琵琶レイクオーツカ」(大津市南小松)に、疫病退散の御利益があるとされる「アマビエ」と、琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」を掛け合わせた「飛び出し坊や」が登場した。発案者は飛び出し坊や愛好家で、ビワイチ達成経験もある同ホテル支配人の山極明宏さん(54)。「自転車を頑張ってこいでいるアマビエの姿を通して、元気や勇気を届けたい」と力を込める。(略)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が首都圏などに発令され、世間が暗い雰囲気に包まれていた今年1月。山極さんの夢にアマビエが現れた。アマビエは山極さんの私物の自転車に乗って、ホテル前の琵琶湖から登場。その後自転車を置いて湖に戻っていったという。夢の内容をホテルの従業員に伝えると、「何かのお告げでは」と作製が決定。約2カ月で完成した。
アマビエモチーフの「飛び出し坊や」が作られたことを報じる記事だが、ただブームに乗っかったのではなく、夢告げを受けて作られたものであり、しかもその夢が「琵琶湖から自転車に乗ったビエが出てくる」という類を見ない内容であるあたりが素晴らしく、現地まで現物(写真参照)を見に行き、アマビエ飛び出し坊や煎餅まで買ってしまった。

なお、このホテルは先の二〇年六月にもアマビエをモチーフにした「飛び出し坊や」を作製している。
《84》鳥インフルエンザの終息願い「トリビエ」像設置 千葉 いすみ
(NHKニュース 二〇二一・〇三・二三)
千葉県内では去年12月以降、いすみ市などにある11か所の養鶏場や農場で、鳥インフルエンザが相次ぎ、ニワトリおよそ456万羽が殺処分されました。鳥インフルエンザの終息を願うとともに、殺処分されたニワトリを供養しようと(以下略)。
コロナだけでなく鳥インフルエンザの収束と、さらに処分された鳥たちの慰霊までもがビエに背負わされたケース。アマビエは元々鳥要素が強いデザインなのにそこに鳥を足すのか、とは思った。
《85》2万本のチューリップで描く妖怪「アマビエ」
(FNNプライムオンライン 二〇二一・〇四・一三)
滋賀県米原市では、2万本のチューリップが見ごろを迎え、疫病退散の妖怪「アマビエ」が描かれています。
チューリップでビエを描いたことを報じる記事。それだけだとよくある話なのだが、特筆すべきは「きれいですね。毎年来てますけど」「アマビエの形が今年もできてよかった」という観光客のコメント。ビエが一過性のブームではなく年中行事になりかけている。
《86》妖怪アマビエ浄瑠璃、上演始まる 山都町・清和文楽館 藩士との恋、切々と
(熊本日日新聞 二〇二一・〇四・二七)
海で遭難した肥後藩士が竜王の娘(アマビエ)に助けられて夫婦になるが、妖怪の本性を知られたアマビエが身を引く(略)。藩士とアマビエの出会いと別れが切々と語られ、疫病を招く悪役の海法師とアマビエが大胆な演出で相対した。
新作人形浄瑠璃「肥後アマビエ戀歌(こいうた)異聞」の上演を報じる記事。アマビエがいつの間にか竜王の娘になっている。約一年前には雪女の変装だったことを思うと物凄い出世である。
なお、鑑賞した鹿児島県霧島市の会社員、前田雅俊さん(61)は「物語も人形の動きも素晴らしく、涙が出るほど感動した。また来たい」と話した」とのこと。
《87》魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー
(二〇二一・〇四・二九上映)
二〇二〇年三月から放映されたスーパー戦隊シリーズ第四四作「魔進戦隊キラメイジャー」と、同シリーズの前作「騎士竜戦隊リュウソウジャー」が共演するVシネマ。発売・配信に先立って劇場でも公開された。
本作に登場する怪人「カントクマイナソー」は、映画監督をモチーフにした悪役ではあるが、光る目、クチバシ、長い髪のように見えるヒレ、全身を覆うピンク色の鱗、三本目の足に見える尻尾など、アマビエを強く想起させるデザインとなっている。また、このカントクマイナソーは劇中に数バージョンが登場するが、うち一体は「BIE(ビエ)」というネオン文字とアマビエを描いたネオンサインを頭上に掲げている。なお、「マイナソー」は「リュウソウジャー」に登場する怪人の種族名(総称)。
このデザインについて、デザイナーである久正人は「スーパー戦隊怪人デザイン大鑑 戦変万化2011―20221」にて、「「幻獣+マイナソー」というのがマイナソーの名前なので「アマビエマイナソー」というのがデザイナー側から出した名前です。モチーフは2020年から話題になっている妖怪アマビエです」「(頭上に座っている映画監督の骸骨の:引用者注)椅子はディレクターズチェア風にもしています。人間を通して自分の(思った通りの)絵を描かせるというのがアマビエっぽいなと思いモチーフにしました。特撮史上初のアマビエキャラを狙ったんですが、名前がなぁ……」とコメントしている。
ビエが明確な悪役のモチーフになったのは筆者が知る限りこれが初めて(唯一)の事例で、アマビエの名を冠していないことが実に惜しい。
《88》江戸時代の瓦版から「アマビエ」模写、民衆に配られた札を発見
(読売新聞 二〇二一・〇五・一一)
江戸時代の瓦版に描かれたアマビエを模写して民衆に配られたとみられる札が、世界遺産・平等院(京都府宇治市)内の塔頭たっちゅうで発見されていたことがわかった。(略)平等院の神居文彰住職(58)が昨年1月頃、塔頭・浄土院の所蔵庫を整理していた際、「疫病退散 尼比恵」と書かれた封筒の中にある札を発見。コロナ禍で全国的にアマビエが知られるようになった同年6月頃に、「少しでも人々の不安が和らいでほしい」との思いで、檀信徒ら約800人に札の複製を配布した。
ビエの史料は京都大学附属図書館所蔵の一点しか現存しないというのが通説だが、実はもう一点あった! しかもあの有名な平等院でビエブームの前に見つかっていた! という驚愕の事実を報じる記事。
後日、このアマビエ札をコピーしたグッズ(シール)が平等院で販売された(写真参照)。

なお、ここで発見されたとされる札の意匠は、古物めいた作品を手掛けるクリエイターであるナンブ寛永(南部堂)氏が二〇二〇年三月に作成したグッズによく似ていたことが確認されている。
また、この件はなぜか他社が一切報じず、続報も出ず、後日(二〇二三年一二月三日)に平等院オンラインストアを確認したところ、先述のグッズは見当たらなくなっていた。買っておいて良かった。
《89》原子で描いたナノサイズのアマビエ つくばの研究機関
(朝日新聞 二〇二一・〇五・二六)
茨城県つくば市の物質・材料研究機構(NIMS〈ニムス〉)は、物質をつくる基本的な粒子である原子を動かせる装置を用いて、疫病退散の妖怪の姿を再現した。ドット絵の大きさは縦横約45ナノメートル(ナノは10億分の1)。細菌などと比べてはるかに小さい新型コロナウイルスでも直径100ナノメートル程度とされ、それを下回るサイズだ。(略)
新型コロナの感染拡大など、社会の難局に打ち勝つのは科学の力だと訴えるのが今年の催しのテーマだった。担当者は「一般の人がびっくりする科学技術はすでにある。アマビエの絵を通して希望を感じてもらえたら」と話した。
おそらく史上最小のビエ。
《90》東京国立博物館・東洋館 壇蜜「セクメト女神像」の存在感に圧倒される
(週刊ポスト 二〇二一・〇五・三〇)
山下:セクメトは雌ライオンの頭を持ち、人々に癒しをもたらす女神。アメンヘテプ3世は晩年に病気がちで、病気を癒す神様を国内外から幅広く集めました。
壇蜜:今でいうアマビエですね。
国立博物館のエジプト展を報じる記事の中の一節。古代エジプトの女神セクメトを「今でいうアマビエ」と評するパワフルさが光る。
これはあくまで壇蜜氏個人の感想かと思っていたのだが、後に同じ展示が京都市美術館(京都市京セラ美術館)に巡回してきた際、セクメト像に「古代エジプトのアマビエ」というキャプションが堂々と付けられていて驚いた。
《91》スペインのスタジオが開発した和風サイコホラー『Ikai [異界]』が正式発表。留守をまかされた巫女のもとに悪鬼が忍び寄る。
(電ファミニコゲーマー 二〇二一・〇六・一一)
『Ikai』は日本の民間伝承からインスピレーションを得た一人称視点の和風サイコホラーゲーム。舞台は封建時代の日本。(略)開発をしたのはスペイン、バルセロナに拠点を置くスタジオEndflame。(略)いったいどういう経緯でスペインの開発スタジオが土着的な和風ホラーゲームの開発に挑戦しようと思ったのか興味はつきないが、パンデミック中に開発したとのことで、イースタエッグで疫病退散にご利益があるとされる妖怪「アマビエ」も登場するという。
二〇二一年一〇月にPC、PS、Nintendo Switchで発売される海外ゲームの紹介記事。発売神社の留守を任された巫女ナオコが悪霊や悪鬼を避けながら呪いを解くという内容で、ビエも登場したらしい(未プレイのため詳細未確認)。
《92》漂着のアマビエ像、守り神に 八代市坂本町から流出、宇城市の戸馳島へ
(熊本日日新聞 二〇二一・〇六・一三)
豪雨から10日ほど後、宮川さんが、島西側にある自宅前の入り江で、海岸を埋め尽くした漂着物の中から見つけた。(略)道の駅で販売していたチェーンソーアート作品と分かった。(略)傷まないようにニスを塗り、発見した堤防近くに設置。マサキや茶などを供えると、近所の人も手を合わせるようになったという。
先の漂着アマビエ信仰の続報。水害の際に島に漂着して信仰を集めていた像が道の駅で売っていた商品だと判明したが変わらずに信仰されている、という内容で、一度発生した信仰心というものの根強さを感じさせる。
《93》こうして妖怪・アマビエ商品の偽通販サイトで高額請求を受けました。利用明細に潜む巧妙な罠も!
(Yahoo!ニュース 二〇二一・〇七・〇三)
先月末、50代女性は偽の通販サイトで商品を注文してしまい、価格の130倍もの高額な請求を受けました。(略)今回、詐欺犯らが目をつけたのが、アマビエの商品です。アマビエは古来伝わる妖怪で、疫病を予言したともいわれています。新型コロナへの感染の危険が身近に迫ってきているだけに、疫病退散の願いをこめて作られた商品は、キモかわいい様子で描かれた姿とあいまって、とても人気になっています。彼女もアマビエの商品が大好きで、ネットで気に入った物を見つければ、購入していました。(略)まさに偽の通販サイトは神出鬼没、変幻自在で、それ自体が人に害を加える妖怪的存在といえるかもしれません。何より、人々が疫病退散の願いを込めて作ったアマビエの商品をだしに使い、詐欺の罠を仕掛けるなど、決して許すことができません。
詐欺サイトの悪質さを周知する記事なのだが、紹介される実例がビエグッズ詐欺。 ビエブーム発生から一年以上経つとこういうことも起こる。こんなに「アマビエに騙されちゃなんねえ」というフレーズが似合う記事もそうそうない。
《94》あま~い妖怪大集合 老舗和菓子が販売、SNSで話題に
(朝日新聞 二〇二一・〇七・〇六)
創業62年の老舗和菓子メーカー「みどり製菓」(大阪市東住吉区)が、天狗(てんぐ)や河童(かっぱ)、座敷わらし、鬼など8種類の妖怪を模した和菓子セット「妖菓子(あやかし)」のネット販売を5月末から始めた。SNSで話題となり、数百個を売り上げている。
記事本文では分からないが、紹介されているお菓全子八種のうち二種がビエで、「アマビエ兄弟」という名前になっている。五期「鬼太郎」以来、ビエは女性扱いされることが多く、男子のアマビエは珍しい。
《95》歌っているのは誰? 「ザ・マスクド・シンガー」大泉洋、Perfume らを魅了するバトルの一部を初公開
(映画.com 二〇二一・〇七・二一)
Amazon Prime Videoで独占配信される音楽ライブエンターテイメント番組の日本版「ザ・マスクド・シンガー」から、パフォーマンスバトルの一部がYouTubeで披露された。芸能界、スポーツ界、文化界など、各界を代表する12人のスターたちが正体を隠し、歌声を披露する。(略)あわせてキービジュアルも披露され、シンガーの「アマビエ」と「T-REX」の対決に大盛り上がりする様子が描かれている。
タレントの素顔を隠すための覆面のモチーフとして恐竜などと並んでビエが採用された例。この頃になると疫病退散祈願のような真面目なジャンル以外にも平気でビエが使われるようになってきている。
第六期 Establish(世間に認めさせる、確立する) ―アマビエは一時代のシンボルとしての位置を確立する―
《96》 第52回星雲賞決定 日本長編部門は林譲治『星系出雲の兵站』コミック部門に『きみを死なせないための物語』『鬼灯の冷徹』
(VG+編集部 二〇二一・〇七・二八)
〈自由部門〉正式名称『疫病退散の妖怪アマビエ』
受賞者 妖怪アマビエ
受賞理由 ”日本人に希望を与えた。”、”コロナ禍にSNSへ投稿されたイラストの数々”、”140年ぶりの流行”
「星雲賞」はSFファンが「優秀なSF作品およびSF活動」を投票で決める賞で毎年選定が行われるもので、その2020年の自由部門にアマビエが選ばれたことを報じる記事。ビエに疫病退散属性が付与されたのも流行したのも2020年代が初めてだと思うのだが、そんなビエを「疫病退散の妖怪」と評し、あまつさえ「140年ぶりの流行」と断じてしまうのはいかがなものか。それでいいのかSF界。
《97》朗読音楽劇を披露 「音の郵便屋さん」が公演 浜松・中区
(あなたの静岡新聞 二〇二一・〇八・一六)
大地の精霊と天女が巨大地震を「アマビエの歌」で鎮め、村に平和を取り戻す内容。ビエ(をモチーフにした歌)は遂に巨大地震すら鎮めるようになった。もう効かないものを探す方が難しい。
《98》昨年、動画配信で話題になった「アマビエ三番叟」など、婀の会オリジナル構成での舞踊や邦楽演奏 婀の会「邦楽と物語の泉」シリーズ四 上演決定!
(ロングランプランニング株式会社 二〇二一・〇八・一九)
ワークショップなども伴った義太夫のイベントで、長唄義太夫コラボレーション新作として「安真病癒三番叟(あまびえさんばそう)」が上演されることを報じる記事。「安真病癒(あまびえ)」という漢字表記が新しい。
《99》アマビエが宇宙へ! SpaceBDが新型コロナ終息を願いISSに向け打ち上げ"
(TECH+ 二〇二一・〇九・〇七)
スペースデリバリープロジェクトは、SpaceBDが国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の中型曝露実験アダプタ(IVA-replaceable Small Exposed Experiment Platform: i-SEEP)の利用事業者として選定されていることから対象品を宇宙空間に打ち上げ曝露を行うというもの。これまで研究目的が多かった曝露サービスの裾野を広げる目的で、記念品などにも対象を広げたのが特徴だ。SpaceBD自身も記念品を打ち上げることとなり、何を打ち上げるか社内で話し合った際に、疫病終息を願うアマビエがいいのではないかという声が出たのだという。
ISS(国際宇宙ステーション)に向けてビエを象った記念品が打ち上げられることを報じる記事。おそらく最も高い位置まで上がったビエ。
今更ではあるが、科学的なジャンルでも当たり前のようにビエ=疫病退散のシンボルとして扱われていることに対しては正直かなり疑問がある。それでは疑似科学とかを笑えませんよ。
《100》ラグナドール 妖しき皇帝と終焉の夜叉姫
(グラムス 二〇二一・一一・一一)
『ラグナドール 妖しき皇帝と終焉の夜叉姫』は2021年10月21日にサービス開始されたアプリゲーム(ソシャゲ)で、日本の妖怪や伝説をモチーフとしている。本作では開始から一月足らずで「アマビエ」が実装されており、定番の妖怪の一つとして扱われていることが分かる。公式Twitterアカウントの紹介文によると「アマビエはどんな疫病もパチンと解決!するんだよ」とのこと。
ここでのアマビエは少女のような顔立ちの人間に近いデザインになっており、ビエブームの起こりから一年半が経過し、ビエが「デザインを弄っていい」枠に入ったことが窺える。
《101》『おかあさんといっしょ』新作人形劇が4月から開始 テーマは「可能性と多様性」
(ORICON NEWS 二〇二二・〇二・一六)
NHK・Eテレの幼児向け教育番組『おかあさんといっしょ』のぬいぐるみ人形劇が、二〇一六年四月から放送されている「ガラピコぷ~」から「ファンターネ!」に変わることを報じる記事。メインキャラクターの一人「みもも」は「3歳のカッパの女の子」という設定なのだが、色合いといい顔つきといい、妙にアマビエっぽいのでここで紹介しておく。実際にビエがモチーフの一つなのかは不明。
《102》ソロアイドルの上月せれなと小泉花恋、2人組ユニット・SEiRëëN結成
(音楽ナタリー編集部 二〇二二・〇三・〇二)
それぞれアイドル活動を始めて8年目になる上月と小泉。SEiRëëNというユニット名は、歌で人を魅了するギリシャ神話のモンスター・セイレーンが由来になっている。そのセイレーンと姿が似ていると言われているのが日本古来の妖怪・アマビエで、SEiRëëNは疫病を退散させるがごとく、世の中を明るく照らすために活動していく。
アイドルユニットの結成を報じる芸能ニュースなのだが、ユニット名がセイレーンなのに文中にいきなりアマビエが登場するので面食らった。「セイレーンと姿が似ている」……?
《103》チロルチョコ、昭和・平成・令和の「世代別チロル」発売。各時代に流行ったスイーツを再現
(グルメWatch 二〇二三・〇四・一〇)
チロルチョコは、昭和・平成・令和の「世代別チロル」を4月10日に発売する。それぞれの時代に流行したスイーツをチロルチョコで再現した。1袋8個入り(各4個×2種)で、価格は140円前後。(略)令和チロル/2019年~現在の令和時代をイメージした商品。まだ記憶に新しい人気となったマリトッツォと、今なおブームが続いているピスタチオの2種が楽しめる。
二〇二二年の春以降はほとんど目新しいビエニュースはなく、年中行事に関したグッズのモチーフに取り上げられるくらいだったが、そこに飛び込んできたのがこれ。昭和・平成・令和の三種のパッケージのうち、「令和」をモチーフにしたデザインのものには、ロゴの右横にアマビエが描かれている。
令和を総括するにはいくら何でも早すぎるとは思うが、令和時代の象徴の一つとしてビエが採用されていることから、ビエが時代の顔となったことがよく分かる。
以上、ブームのきっかけになったツイートからほぼ三年間を駆け足で振り返ってみた。取りこぼしが多いのは自覚しているが、だとしてもビエが関わった事例の多さとジャンルの広さ、そして二〇二〇年前半の知名度の上昇と社会への定着の速さには驚かされる。
二〇二一年初頭に記録をまとめた時は、「この後ビエは一過性のブームとして廃れていくのか、あるいは定着するのかは分からないが、それなりに興味深く見守っていきたい」と締めたのだが、それから三年近く経過した今どうなっているのかと問われれば、正直よく分からない(ついでに言えばコロナも収束していない)。
少なくともビエは「皆さんご存じ」枠の妖怪として定着し、妖怪事典などにはまず載る程度の知名度は得たようだが、果たして五年十年経つとどうなるか、ウイルス性の病気が次に流行った時にまた持ち出されるのかどうなのか。前回と同じ締めで芸がないが、それなりに興味深く見守っていきたい。




