峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

「少年泉鏡花の明治奇談録」第二巻「城下のあやかし」出ます

 昨年の夏に「少年泉鏡花の明治奇談録」という本を出しました。

 幻想文学の大家にして、文明開化・迷信排斥に時代に逆らって怪異を愛した文豪・泉鏡花を題材に、少年時代の鏡花が後の自作のモチーフになるような事件に遭遇していたのかも?という趣向の伝奇ミステリーです(言うまでもなくフィクションです)。

 で、それの二作目が来月出ます、というお知らせです。見本誌も来ました!

www.hanmoto.com

 私のスマホのカメラの画質がよろしくないので写真がぼやけてしまっていますが、赤黒のコントラストが綺麗な表紙となっております。装画は前巻同様榊空也さま。いつもお世話になっております。

(ちなみにこの本、元々は二月発売予定だったのですが、発売日が変わった経緯はこちら↓に書きました)

「少年泉鏡花の明治奇談録」続編刊行についてのお知らせ - 峰守雑記帳

 

 主人公は、私塾に通う受験生でありながら講師も務める秀才であり、怪異と年上の女性をこよなく愛し、格の高い人外の女性に巡り合う日を夢見る少年、泉鏡太郎(後の鏡花)で、相棒役は、鏡太郎と「怪異の噂を教えてくれば受講料の支払いを待つ」「本物の怪異に遭遇できたら受講料は免除する」という約束を交わした私塾の受講生である人力車の車夫・義信。

 二人は金沢近隣で流れる怪しい噂を聞いては首を突っ込んでいくのだが、果たして鏡太郎は本物の怪異に巡り合うことができるのか? という感じのお話です。

 鏡太郎に思いを寄せるものの年下なので全然振り向いてもらえない貸本屋の少女・瀧など、前巻の登場人物も出てきます。

 前巻同様、鏡花の作品を題材にした連作となっておりまして、今回のお題は「海神別荘」「茸の舞姫」「貝の穴に河童の居る事」「竜潭譚」「朱日記」の五編。その他、個人的に大好きな鏡花作品である「海異記」と「女仙前記」「きぬぎぬ川」の要素も入っております。

 ちなみにオフィシャルのあらすじはこんな感じです。

 

時は明治、古都・金沢で過ごす変わり者の美少年・泉鏡太郎。(のちの泉鏡花
おばけ好きな鏡太郎は、人力車夫の義信とともに怪異の噂を調べに行く。
魚の化生ではないかと噂される陸軍少佐夫人、神隠しから帰って来た医者の息子、義信が目撃した河童……など、不思議な噂たちの真相とは……?

そして、ある日、火にまつわる奇妙な噂が、金沢を揺るがす大事件へと発展していく――!

泉鏡花作品を知っている人も知らない人も楽しめる、
大好評の明治怪奇ミステリー、第2弾!

 

泉鏡花作品を知っている人も知らない人も楽しめる」とあるように、元ネタ知ってる鏡花好きの方も、そうでない方も楽しんでいただけるように書いたつもりです。金沢ローカルの妖怪伝承も相変わらずどっさり入っております。3月5日頃に発売されるはずですので、よろしくお願いいたします。

(なお、各巻ごとに話は完結してますのでここから読んでも大丈夫ですが、二巻目では当然ながら前巻の出来事ありきで話が進むため、できれば一巻から順を追って読んでいただけた方が楽しめるとは思います)