峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

「 陰陽師とは何者か」展で奈良の底力を感じてきました

 千葉県は佐倉の国立歴史民俗博物館で開催された特別展「陰陽師とは何者か うらない、まじない、こよみをつくる」を見てきました。

 

 見てきたのはちょっと前で、今更思い出したようにこの記事を書いております。ちなみにこの展示は12月10日(この記事を更新した日)までなので、ここ読んで行こうと思われても遅いです。すみません。

 陰陽師といえば「晴明」とか「式神」とかがすぐ連想されますし、平安ファンタジーの定番要素(ジャンル?)でもあります。

 この特別展のマスコットキャラのモチーフも晴明でしたが、「そして、本物に出会う」と副題がついているだけあって、主題は「実際の陰陽師たちが何をしてきたか」。

 説話の中の安倍晴明を代表としたマジカルヒーローとしての陰陽師にももちろん触れられているものの、そっちの比重は軽めで、展示内容は実在の陰陽師たち関連の文書が中心、「陰陽師ってのはあくまで暦を作ったりした人たちだからな!」という硬派なスタンスがはっきり感じられる構成だったように思います。

 安倍晴明五代目として持ち上げられる少年が「式神は実在しねえ! 鬼もいねえ! というかそういうのは陰陽師の仕事じゃねえ! 陰陽師の本業は天体観測と暦を作ること!」とキレながら怪しい事件をバサバサ解決するシリーズ(↓)を書いたことがある身としては、そうだよな、と思える展示でありました。面白かった。

www.poplar.co.jp

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 あと、展示全体を通じて印象的だったのが奈良の強さ。

 陰陽師といえば賀茂家とか土御門家とかなので、京都か東京の資料が多いんだろうなーと思ってたんですが、奈良から来た資料がとにかくめちゃくちゃ多いんですよ。陰陽師十数人が代々住み続けていた町が奈良にあって(その名も陰陽町)、幕末まで陰陽道に則って暦を作っていたことも今回初めて知りました。

 先日見に行った奈良の「仮面芸能の系譜」展や、その図録に収録された対談で、「皆さん古都と言うと京都のことばかりですが、しょせん京都は新しくてミーハーな町や」「ほんまに古くて伝統があるのは奈良ですさかいなあ」みたいなメッセージを勝手に受け取っていたこともあって、奈良を侮ってはいけないなと改めて思ったことです。

 名物っぽい駅弁が柿の葉寿司しかないんだよなーとか思っている場合ではない。

 

 で、せっかく国立歴史民俗博物館まで来たので常設展も見てきました。こっちは撮影可能エリアが広いので撮影が捗ります。

 ここに来るのは数回目ですが、先史時代から始まって縄文、弥生、古代、中世(中略)と来て、敗戦でめちゃめちゃになってようやく復興したと思ったらそこにゴジラが来て終わる!!というこの構成、何度見てもロックだと思います。

 

 いいですよね、日本史を再現した長い長い展示の最後にドーンといるゴジラ(84年版)。なんらかのメッセージを受け取ってしまう。

 

 あ、「民俗」コーナーの「現代の子供部屋」にいるロボはまだゴーバスターエース(バスターアニマルモード)でした。もうそろそろ十年選手だなあ。

 

 せっかくなので撮ってきた写真を何枚か貼っておきます。

 

 昆虫のようなデザインがイカす異形土偶

 

 宮本常一先生のお言葉。この人を主人公にした金田一耕助ものみたいな民俗ミステリーを書きたい(できれば誰かが書いたやつを読みたい)とずっと思っています。

 

 実体験できる覗きカラクリ。目が疲れます。

 

 近著(「予言獣大図鑑」発売中です)でお世話になった予言獣の一体である尼彦さん。

 といったところで特にオチもなく終わります。