峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

「予言獣大図鑑」出ます

 文学通信から12月上旬(8日頃?)に発売される予定の「予言獣大図鑑」という本にちょろっと関わっております、というお知らせです。

 

bungaku-report.com

 

 予言獣というのは「どこどこに出てきて予言した」という話とセットで語られる怪しいモノの総称で、まあ要するにあのアマビエみたいなやつです。あれの仲間は実は結構な数が存在するのですが、そういった図像とテキストを(編集時点で知り得る限り)全点、ざっと150点以上(!)掲載し、分類し、解説し、考察したのがこの本です。

 関わった人間が言うのも何ですが、これが2200円で買えるのはかなり破格だと思います。掲載されてる資料を一つ二つ任意の博物館に見に行って帰ってくるだけでこれ以上の交通費が掛かりますからね多分。

 あと、素人としては、掲載された資料全点について翻刻(活字化)と現代語訳が付いてるのがありがたい。連中の予言を続けて読んでいただくことで、いかに予言獣たちが適当な予言ばっかりしてきたのか痛感していただけると思います。あいつら気軽に人類の六割以上を滅ぼしすぎ。

 この本が成立する過程についてはどこまで話していいものか分からないのですが、本書の編集の中心となったのは、司書でありアーキビストであり、アマビエブームの渦中によくメディアでコメントしておられた長野栄俊さん。

 そこに、コロナ禍以降、予言獣関連の記事を一番多く手掛けた記者だと思われる毎日新聞の岩間理紀さん、クダン研究といえばこの人という感もある笹方政紀さんも加わっております。

 わたくし峰守は研究者でも記者でもないフィクション屋なわけで、正直、場違い感は否めなくもないのですが、「予言から疫病退散へ ─刊行物・報道から見るアマビエの属性の変質と定着─」というやや長めの文章一つと、「「ヨゲンノトリ」繁盛記」「アマビエ=変容する妖怪?」という短いコラムを二本書いております。

 このうち「予言から疫病退散へ」は、コロナ禍を挟んでアマビエの語られ方がどう変わったのかをまとめた内容で、私が2020年からやいやい言い続けてきたアマビエに騙されちゃなんねえ運動のある種の総決算となっております。とはいえこれで怒り止めというわけではなく、まとめることで改めて「こいつら適当すぎる」という憤りが湧いてきたので今後も言うとは思います。

 まあ私のパートはともかくとして、「こいつらこんなにいたんだ」「こんなのもいたんだ」という驚きがストレートに味わえる本になっていると思います。妖怪好きも怪異好きも歴史好きもオカルト好きもクリーチャー好きも楽しんでいただけるはずなので、よろしくお願いいたします。