峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

たまったもんじゃないぞインボイス制度という話

 いよいよインボイスがアレするということで、先日税務署での説明会に行ってきて、たまったもんじゃないな……という気持ちを再確認してきました。説明会の後に個別相談タイムもあったんですが、農家や観光業の方が並んでおり、皆さん相談時間がかなり長めでなかなか順番が回って来そうもなかったので、「お互い大変ですね……」という気持ちを抱えて帰ってきました。どういう制度なのかは皆さんご存じでしょうし、ご存じでない方はググってください。

 説明会では「インボイスで納税額が増えるから、その分の持ち出しを請求額に転嫁することも考えましょうね」みたいなことを言われるわけです。まあ支払額が増える以上どこかで稼ぐしかなくなるわけで、その分は末端価格に乗っかるわけで、ただでさえ諸々の物価が上がっているご時世にそれは辛いなあと。

 私は本を書いて食っているわけですが、正直、書き下ろし文庫は安い娯楽だとは思います。ただまあ無いと死ぬような商品では全然ないし、実際私としても、パンや牛乳やガソリンは本や映画よりも優先せざるを得ない。なので、日常的に消費するものが値上がりすると書き手としても読み手としても困るし、同じくらい腹立たしい!という話です。

 この制度、強制的に参加させられるのならともかく(これはこれで困りますが)、「登録するかどうかはあくまで自由です」「登録したら持ち出しと手続きが増えます。メリットはないです」「でも登録しなかったら取引先の支払いが増えるわけで、取引切られるかもしれませんね……」というやり口なのがなおセコいと思うわけで。なんだそのイヤな二択は。

 なおインボイスについては「事務作業の経費が税収の○倍になるから駄目なのだ」みたいな話を何度か見かけましたが、これ「人件費という形で経済が回るからいいのだ」で反論されちゃうのでは、という気もして、私としては「税収が増えようがトータルでマイナスだろうが知らん」「支払額と手続きが増えるのは困るし、物価が上がるのももっと困る」という素直な感情で反対しています。誰が政治しとるのか。

(そもそも「経済を回すのは良いことだ」論自体が好きではなくて、お金を右から左に流すことが目的なら、そこで消費される資源やエネルギーがあまりにもったいなくないですか、ダイレクトに募金した方が早いのでは、と思っております)

 この制度の厄介さは数年前から散々指摘されていたわけで、今になって騒いでいる声を見ると、今更慌てるんですか? でもずっと与党を支持してたんでしょう? という気持ちもなくもない……というか大いにあるし、来年以降のことを考えると溜息ばっかり出るんですが、せめて「困るぞ」という声くらいは明確にあげておきたいなと思いまして。特にオチはないです。

(ちょっとだけ追記)この政策、進めてる側は「インボイスがそんな手間なら個人でやってるのを止めて組織に入ればいいじゃん」と考えてるんじゃないかなーと思うんですよね。作家でも事務所に所属してる方もおられますし。でもそれをやりたくないからフリーで物書きやってる人間もいるわけですよ。ほんとにもう。