峰守雑記帳

小説家・峰守ひろかずが、見聞きしたことや思ったことを記録したり、自作を紹介したりするブログです。峰守の仕事については→ https://minemori-h.hatenablog.com/

20thが良かったのでアバレンジャー全部見直した話、あと「最終回後の続編」についての雑感

(先日からちょっと風邪をやっていまして本業の書き物業務が滞っており、これはリハビリというか気分転換というか、そんな感じで書いた記事です)

 えー、先日公開・発売・配信された「爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ」が良かったのでアバレンジャー関連を全部見直したけどやはり良かった、という話をします。

 

Vシネクスト「爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ」 | 東映ビデオオフィシャルサイト

 

 具体的な感想の前に「一回終わった作品の続編」について。最近よくありますよね。ファンとしては嬉しいんですが、でもこの手の続編、割と不幸になりがちじゃないですか。円満勝利を勝ち取ったはずの主人公たちが国に指名手配されてたり、仲間の一人が犯罪者になってたり、行方不明になってたり、悪に負けて世界が年単位で支配されてたり、地球が八割がた滅亡してしまってたり、帝国を倒して姫と結ばれたと思ったのに息子とこじれにこじれて奥さんとも疎遠になってたり、現役考古学者を続けつつ息子と上手く行ったと思ったらそんなことはなく奥さんとも疎遠になってたり。ハリウッドはハリソン・フォードに恨みでもあるのか。

 

 いや分かるんですよ。「あの後もずっと平和でした」よりは「なぜあいつがあんなことに」とか「世界が大変だ」の方がつかみとして強いのは分かります。不幸になってた系の続編でも面白い作品はたくさんありますし、それにこっちもオタクやって長いので、「本編は本編で終わったので、これはパラレルというか別の何かだ」と切り分けて視聴するくらいのことはできます。キャストやスタッフのファンとしては、一種の顔見世興行だと思えば楽しむこともできます。
 でも、その作品への思い入れって登場人物たちへの共感ありきでもあるわけで「こんなことになるなら見せてもらわんでも……」という気持ちになることもありませんか。私はあります。

 

 で、そこでアバレンジャー20thですよ。

 ここから思いっきりネタバレしますが、世界は平和で、海外行ってた仲間が帰ってくるのでみんなで焼き肉の買い出しするところから始まり、仲間はスルスル集まり、久しぶりに会ったメンバーとは普通に近況報告という平和ぶり!

 もちろん事件も起きますが、あくまでゲストの個人的な話に終始して、それも別にそこまで重たいもんでもなく、うるさい悪(いいトリノイドでした)には憂いなくスカッと勝って、最後は打ち上げしながら「またね!」で終わる。「これですよ!」と思いました。これですよ。
 二十年という時間の重みも良かったですね。これが十年だと、つまり二十歳が三十歳になっても正直そんな変わりませんが、二十年だともう四十歳なので、四十路が頑張ってる感がいい味になってました。ちょうど主人公たちと同じ世代なので色々ジーンと来てしまった。
 あと、さすがに二十年経つと子供だった人の成長が如実で、時間経過をバシーンと叩きつけてくれるのも染みました。舞ちゃんがいいお嬢さんになってたのも、アスカの「上の娘が結婚しました」もグッと来ましたが、一番泣いたのは爆竜トリケラトプスの「大人になった僕の力を幸人さんに見せるケラ」でした。いたいけな頃の神木隆之介だったあの子が大人に……!
(この神木隆之介回の予告、「幸人さん、僕人間になりたいケラ! ソフトクリームを食べて恋もしたいケラ!」「馬鹿か!」という直球な暴言が印象的です。そんな言わんでも)

 

 で、20thはすこぶる良かったものの「アバレンジャーってこんなノリだったっけ」「もうちょっと重くなかったっけ」という気持ちもあり、見返したんですね。本編全部と関連作品全部。劇場版やVシネ、爆竜戦隊メンバーがゲスト出演する他作品のエピソード、ヤツデンワニがちょっと出てくる「ゴーカイジャーVSギャバン」まで一通り。

 改めて見直すと本編はやっぱ重かったです。

 敵の能力や作戦がカオスなのでバカバカしい不思議コメディ感はあるものの、話は基本的に重い。ブラックことアスカはもうずーっと曇ってるし、最初はテンションを上げるポジションだったレッドの凌駕も、途中から出てきたアバレキラーのおかげで苦悶タイムが長いし、ゲストもあんまり報われません。「この世の中思い通りにならないことは多いし、ろくでもないやつも多いし、お互いしんどいけど頑張ってこうぜ」くらいで終わりがちです。ただ、そのバランス感覚がおっさんになった身にはむしろしみじみ染みました。化石を掘り出せなかった爺さんの話とかいいですよね。見返してよかった。
 アクションも良く、アバレモードになったメンバーが敵を取り囲んで同時に腕のトゲを振り下ろすアクションこれが大好き。

 

 まあ、もうちょっと見たいなと思うところはもちろんあり、具体的に言うと仲間入りした後のアバレキラーの扱いです。あいつはその惜しさも含めてのキャラクター性だと分かりつつも、あの最期あってこその仲代先生だとは思いつつも、やっぱ「逝くのが早いですよ仲代先生!」とは思ってしまうわけですが、だからこそ、20thでイキイキしてアバレキラーをいじり倒すアバレッドは「もう見たいもの全部見せてもらいました」という感じで大変良かったです。